令和6年10月12日(土)、第54回北海道母性衛生学会総会・学術集会を、北海道大学医学部保健学科にて開催いたしました。当日は天候にも恵まれ、多くの方々にご参加いただき、無事盛会のうちに終了いたしましたことをご報告申し上げます。

約2年前に開催担当を仰せつかった際、私は2つのことを念頭に置きました。第一に、保健科学研究院の他分野との協働をテーマにしたセッションを実現すること。そして第二に、北海道大学保健学科の現在の姿を、広く皆さまに知っていただくことです。これまでにも北海道大学キャンパス内での開催は何度かありましたが、保健学科の校舎を会場とするのは今回が初めての試みでした。

特別講演では、北海道大学病院臨床遺伝子診療部の山田祟弘教授をお迎えし、「医療資源の乏しい遠隔地における遺伝医療提供体制」をテーマにご講演いただきました。山田教授は、我が国における人類遺伝学および遺伝診療分野の第一人者であり、特に北海道で広がりつつあるオンライン遺伝カウンセリングの実践や教育について詳しくお話しくださいました。また、今年度から始まった北海道大学医学研究院修士課程における遺伝カウンセラー養成についても熱意を込めて語っていただきました。

右は山田崇弘教授

トップバッターとして、令和5年度研究奨励賞受賞講演 日本医療大学保健医療学部看護学科 澤田優美先生の発表がありました。一般演題には7題のご応募をいただき、2セッションに分けて発表を行いました。座長を務めていただいた市立札幌病院産婦人科医長 箱山聖子先生、旭川医科大学産婦人科助教 中西研太郎先生には、この場を借りて深く感謝申し上げます。

座長の箱山先生
座長の中西先生

さて、保健科学研究院の多様な専門性を活かした企画についてですが、現在リハビリテーション科学分野の寒川美奈教授とともに「ウィメンズ理学療法」の勉強会を行っております。その活動の一環として、ワークショップ「妊娠・出産期女性の身体変化を支える ~新たな多職種連携アプローチを目指して」を企画しました。このワークショップでは、助産師・看護師、理学療法士、医師がそれぞれの専門的視点を活かし、妊娠中および産後の女性が直面する身体的課題に対する新たな多職種連携の可能性を探りました。

総合討論、激論中!

今回のワークショップには、北海道大学病院リハビリテーション部の西嶋 愛様(理学療法士)、北海道大学病院産科病棟の伊勢カンナ様(助産師)、勤医協札幌病院副院長・産婦人科科長 西岡利康先生(産婦人科医)、札幌円山整形外科病院の岡谷内みのり様(理学療法士)の4名にご登壇いただきました。座長は、寒川美奈教授と創成看護学分野准教授 近藤祥子先生にお願いし、各演者の発表後には、会場全体で活発な議論が交わされました。この議論を通じて、妊娠・出産期の女性における身体的課題の現状や問題点が明確になったのではないでしょうか。妊産婦のマイナートラブル、中高年の骨盤底障害に分娩がもたらす影響などは、今後エビデンスを構築し、解決すべき課題であると痛感しております。

座長の寒川先生、近藤先生
最後に各演者からひとことずついただきました。

一般演題の中から選ばれるベストプレゼンテーション賞は、「母子分離状態に置かれている母親の経済的負担 -公費負担となる費用以外の自己負担について-」を発表された札幌医科大学附属病院の白倉柚月様が受賞され、閉会式にて表彰を行いました。さらに、来年度の学会を担当される高室典子先生からご挨拶をいただき、無事に閉会となりました。

ベストプレゼンテーション賞の表彰
次年度会長 高室先生

閉会の挨拶でも申し上げましたが、学会途中で会場の暖房が停止してしまい、参加者の皆様にご不便をおかけしましたことを改めてお詫び申し上げます。この会場では時折冷暖房の不具合が生じることがあり、今回はその懸念が現実となってしまいました。

最後に、準備段階からご支援いただいた旭川医科大学事務局の河野様、そして当日の運営を一手に担ってくれた助産学/母性看護学/女性医学教室のスタッフならびに大学院生の皆さんに、心より御礼申し上げます。

北海道大学大学院保健科学研究院 教授 蝦名 康彦